過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とはどんな病気?
過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛やお腹の不快感、便通の異常(下痢や便秘など)が慢性的に続く病気です。検査をしても、腸に炎症や腫瘍といった目に見える異常(器質的な異常)は見つからないのが特徴です。異常がないのに症状が出るため、「気のせい」と思われがちですが、そうではありません。腸の動きや、腸が刺激を感じ取る感覚に変化が生じることで、実際に症状があらわれる、れっきとした病気です。
近年は、脳と腸が互いに影響し合う「脳腸相関(のうちょうそうかん)」という関係も、この病気に関わっていると考えられています。ストレスを感じるとお腹の調子が悪くなる、という経験はまさにこのつながりによるものです。
発症しやすい年齢・性別
過敏性腸症候群は、若い方から中年の方まで幅広くみられ、10代・20代から発症することも少なくありません。性別では女性にやや多い傾向がありますが、男性でも決して珍しい病気ではありません。
診断について
過敏性腸症候群の診断では、症状のパターンを国際的な基準(Rome基準)に照らして評価するとともに、大腸カメラなどの検査で、ほかに原因となる病気が隠れていないかを確認します。ほかの病気の可能性をきちんと除いたうえで診断することが大切です。
治療について
過敏性腸症候群は、命に関わる病気ではありません。生活習慣や食事の見直しに、お薬による治療を組み合わせることで、症状の大きな改善が期待できるとされています。つらい症状でお悩みの方は、我慢せず一度ご相談ください。
過敏性腸症候群4つのタイプ
過敏性腸症候群は、便の性状のパターンに応じて4つのサブタイプに分けられます。サブタイプの違いは、症状の理解と治療方針の選択に役立ちます。
過敏性腸症候群になりやすい人
過敏性腸症候群は、日本でも決して珍しくない身近な疾患です。誰にでも起こりうるものですが、特定のリスク要因があります。
- ストレスの多い環境
- 仕事・学業・人間関係などのストレスは、IBSの発症・症状悪化の重要な要因です。「試験前・会議前になるとお腹が痛くなる」という方は、脳腸相関を通じたストレス反応の可能性があります。
- 感染性腸炎の既往
- 細菌性・ウイルス性の腸炎の後にIBSを発症するケースがあり、「感染後IBS」と呼ばれます。腸炎後に便通異常が続く場合、この可能性が考えられます。
- 家族歴
- 家族にIBSの方がいる場合、発症リスクがやや高くなる傾向があります。遺伝的素因と共通の生活環境の両方が関与すると考えられています。
- 睡眠の質の低下
- 不眠・睡眠不足・不規則な生活リズムはIBS症状を悪化させる要因です。生活リズムの改善が症状改善につながることが多くあります。
- 特定の食事パターン
- 腸で吸収されにくい食材、脂肪の多い食事、暴飲暴食、不規則な食事などが症状を誘発することがあります。個人差が大きく、ご自身の傾向を知ることが大切です。
こんな症状はありませんか?
過敏性腸症候群の症状は多岐にわたります。以下のような症状が慢性的に続く場合、IBSの可能性を考慮する必要があります。
「異常なし」と言われても症状に悩む方へ
過敏性腸症候群は診断・治療で症状の改善が期待できる疾患です。
「気のせい」と自分を責めず、ぜひ一度ご相談ください。
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よくあるご質問
「気のせい」ではないのですか?
いいえ、過敏性腸症候群は実在する疾患です。腸の運動異常・内臓知覚過敏・脳腸相関の変化・腸内細菌叢の変化など、科学的に確認されているメカニズムがあります。検査で明らかな異常が見つからないだけで、症状が「気のせい」というわけではありません。ご自身を責める必要はまったくありません。
命に関わる病気ではないと聞きましたが、放置してもいいですか?
IBSは命に関わる病気ではありませんが、放置は推奨されません。理由は①症状が生活の質に大きな影響を与える、②他の重篤な疾患との鑑別が必要、③現代医学で症状の改善が期待できる、の3点です。「よくあること」と我慢せず、ぜひ診断と治療の機会を持ちましょう。
大腸内視鏡検査は必ず受ける必要がありますか?
全員に必須ではありませんが、警告徴候(血便・体重減少・貧血・50歳以降の新規発症・家族歴など)がある方、症状が典型的でない方、初診の方には器質的疾患の除外のために推奨されることが多いです。「異常がないことの確認」は治療への安心感にもつながります。
ストレスをなくせば治りますか?
ストレスマネジメントは症状改善に有効ですが、「ストレスさえなくなれば治る」というほど単純ではありません。IBSは多因子疾患で、ストレスは複数の要因の一つです。ストレスへの対処と並行して、食事・薬物療法など総合的なアプローチが効果的です。
心療内科の受診が必要ですか?
全員に必要というわけではありませんが、症状が生活に大きく影響している方、不安・抑うつが強い方には、消化器内科と心療内科の連携が有効な場合があります。「精神科・心療内科の受診=深刻な精神疾患」ではなく、脳腸相関を踏まえた総合的なアプローチとしてご検討ください。
大腸がんになるリスクは高いですか?
過敏性腸症候群は大腸がんのリスクを高めるものではありません。ただし、大腸がん検診は他の方と同様に定期的に受けることが推奨されます。50歳以降の症状の変化には特に注意が必要です。
「よくあること」と我慢せず、ご相談ください
過敏性腸症候群は、適切な診断と治療で生活の質を大きく改善できる疾患です。
「気のせい」ではなく実在する症状に、丁寧に向き合っていきましょう。
当院の大腸カメラ検査の特徴
- 苦痛を抑えた挿入技術で、体への負担に配慮
- 必要に応じて鎮静剤の使用も可
- ポリープが見つかった場合は、その場で日帰り切除にも対応
- 異常所見があれば同時に組織検査(生検)を実施
- AIによる診断サポートで、微小な病変の見落としを軽減
- Webから検査予約が可能