胃がん

胃がんは、日本において罹患数の多いがんの一つです。しかし、近年はピロリ菌の除菌治療の普及と胃カメラ検査の精度向上により、早期の段階で発見・治療できる方が大きく増えています。早期発見できた胃がんの多くは、体への負担が少ない内視鏡的な治療で完治が期待できます。「症状がないから大丈夫」ではなく、リスクをお持ちの方は定期的な胃カメラでの検査を——それが、ご自身とご家族にとっての最大の備えとなります。

胃がんとはどんな病気?

胃がんは、胃の粘膜から発生する悪性の腫瘍です。胃粘膜の細胞ががん化して増殖する疾患で、その大部分は粘膜の腺細胞から発生する「腺癌(せんがん)」とされています。組織のタイプには、比較的おとなしい性質の分化型と、未分化型があり、進行の仕方はさまざまです。

発症のピークは60〜70代で、男性にやや多い傾向がありますが、近年は若年〜壮年層での頻度は減少傾向にあるといわれています。最大の要因はピロリ菌感染とされており、そのほか喫煙、塩分の多い食事、野菜不足、家族歴なども関係すると考えられています。

胃がんは、早期に発見できれば内視鏡治療による完治も期待できる病気です。進行した場合でも治療法は大きく進歩しており、いずれの段階でも早期発見・早期治療が重要とされています。

見逃したくない胃がんのサイン

早期の胃がんは症状が出にくいのですが、下記の症状が続く場合は要注意です。放置せず、一度は胃カメラでの精査をご検討ください。

これらの症状があっても必ず胃がんとは限りません。しかし、原因を特定するためには胃カメラ検査が最も確実な方法です。

  • 説明のつかない体重減少(半年で数kg以上)
  • 食欲低下・食事量の減少が続いている
  • 食べ物がつかえる感じ・飲み込みにくさ
    (胃の入口のがんの可能性)
  • 健診で貧血を指摘された(原因不明の慢性出血)
  • タール便(真っ黒でドロッとした便)が出る
  • 吐血・コーヒーかすのような嘔吐物が出る
  • みぞおちの痛み・不快感が長く続いている
  • ご家族に胃がん・ピロリ菌感染歴がある

胃がんは、早期の段階で発見できれば体への負担が少ない内視鏡治療(ESD/内視鏡的粘膜下層剥離術)で完治を目指せる時代になりました。日本は内視鏡検査の技術と胃がん検診の体制が世界的に進んでいる国であり、早期発見・早期治療の成果は着実に上がっています。「もしかして」と思ったときが、行動を起こす最適なタイミングです。

こんな方はリスク高

ピロリ菌感染歴がある方
胃がんの最大のリスク因子はヘリコバクター・ピロリ菌の感染です。長期の感染により慢性胃炎→萎縮性胃炎→腸上皮化生→胃がんという経過をたどることが知られています。過去に感染歴があるだけでも、除菌後も一定のリスクは残ります。
ご家族に胃がんの方がいる
胃がんの家族歴があると発症リスクが高まります。これは遺伝要因と共通の生活環境(食習慣・ピロリ菌の家庭内感染など)の両方が関与すると考えられています。血縁者に胃がんの方がいらっしゃる方は、早めの検査開始をおすすめします。
喫煙習慣がある方
喫煙は胃がんの発症リスクを明確に高めます。禁煙により時間の経過とともにリスクが下がることも示されており、いつからでも禁煙は有効です。
塩分の多い食事を続けている方
塩分の高い食事(漬物・塩辛・加工肉など)は胃粘膜を傷つけ、胃がんのリスクを高めます。日本の伝統的な食事のなかにも塩分が多いものがあり、意識的な減塩が予防に有効です。
萎縮性胃炎が指摘されている方
健診の胃カメラで「萎縮性胃炎」を指摘されている方は、胃がんの発生母地となる粘膜変化があることを意味します。定期的な胃カメラフォローアップにより、早期発見の機会が確保されます。
50歳以上の方
胃がんは加齢とともに発症頻度が上がります。特に50歳以上の方で胃カメラを受けたことがない方、ピロリ菌検査を受けたことがない方は、一度の検査で将来のリスク評価をされることをおすすめします。

こんな症状はありませんか?

胃がんの最大の落とし穴は、早期には症状がほとんどないことです。だからこそ、症状に頼らず定期検査で見つけることが大切です。

早期は無症状
早期胃がんの多くは自覚症状がなく、健診や別の理由での胃カメラで偶然発見されます。「症状がない=安全」ではないことが、胃がんの最も重要な特徴です。
みぞおちの不快感・違和感
胃もたれ・軽い痛み・違和感といった漠然とした症状。慢性胃炎や機能性ディスペプシアと区別がつきにくく、市販薬で対処されがちです。
食欲低下・体重減少
「食べたいのに食べられない」「気づいたら体重が減っていた」といった症状は、進行胃がんの重要なサイン。生活習慣の変化がないのに減少している場合は要注意です
貧血・慢性的な疲労感
胃がんからの慢性的な少量出血で鉄欠乏性貧血が進行し、動悸・息切れ・立ちくらみ・倦怠感が現れます。健診で貧血を指摘されたら、胃の評価も検討しましょう。
食べ物がつかえる・飲み込みにくい
胃の入口(噴門部)のがんでは、食べ物の通過が悪くなり、飲み込みづらさ・つかえ感が出ます。この症状は比較的進行してから現れることが多いので要注意です。

胃がんのステージ分類

胃がんの進行度は、がんの深達度・リンパ節転移・遠隔転移によって決まります。

STAGE I(早期)内視鏡治療で完治が期待できる
粘膜または粘膜下層にとどまる早期胃がん。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による切除で、体への負担が少なく完治が目指せます。5年生存率は90%以上とされています。
STAGE II〜III(進行)外科手術+薬物療法の組み合わせ
胃切除術(幽門側/噴門側/全摘)とリンパ節郭清が中心。手術前後の化学療法(術前補助療法・術後補助療法)も検討します。生存率は早期がんに比べると低くなります。
STAGE IV(進行)薬物療法が主軸、症状緩和も重視
この段階では手術で完全に取り除くことが難しく、抗がん剤治療が中心になります。化学療法・分子標的治療・免疫チェックポイント阻害薬などを組み合わせて治療します。近年は治療選択肢が大きく増え、生存期間の延長が可能となる症例が増えています。

気になる方は、早めの胃カメラ検査を

胃がんは早期発見が予後を大きく変える病気です。
ピロリ菌検査と胃カメラで、将来のリスクをしっかり評価しましょう。

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胃がんの治療

胃がんの治療は、一人ひとりの状態によって最適な方法が異なります。がんの進行度(ステージ)に加え、年齢や体力、持病の有無なども考慮しながら、総合的に治療方針を検討していきます。具体的な治療法としては、内視鏡治療・外科手術・化学療法・放射線療法などがあり、状態に応じてこれらを組み合わせることもあります。手術などの専門的な治療が必要な場合には、当院と連携している病院へ速やかにご紹介する体制を整えています。

よくあるご質問

症状がなくても検査を受けるべきですか?

はい、症状がないうちに検査を受けることが胃がん対策で最も重要です。胃がんは早期には症状がほとんど出ないため、症状が出てから受診すると進行しているケースがあります。健診の胃カメラも積極的にご活用ください。

ピロリ菌の除菌をしていれば安心ですか?

除菌治療により胃がんリスクは大きく下がりますが、完全にゼロにはなりません。特にすでに萎縮性胃炎が進んでいる方では、除菌後もリスクが残ります。除菌成功後も定期的な胃カメラ検査を継続することが大切です。

バリウム検査と胃カメラ、どちらを受けるべきですか?

早期胃がんの発見率は胃カメラの方が優れており、疑わしい病変があった場合はその場で組織生検も可能です。バリウム検査には受診しやすさなど別の利点もありますが、リスクの高い方や気になる症状のある方には胃カメラをおすすめします。

胃がんは遺伝しますか?

家族歴が胃がんのリスク因子であることは明確ですが、その多くは共通の生活環境(食習慣・家庭内でのピロリ菌感染など)による部分が大きいと考えられています。まれに強い遺伝的素因を持つ遺伝性胃がん症候群もあり、家族内での若年発症などがある場合は専門的な評価が検討されます。

胃がんが見つかったら、まずどうしたらいいですか?

まずは正確な進行度の評価(ステージング)を行い、治療方針を専門医と相談することが第一歩です。当院は早期発見と初期評価、および連携専門医療機関への紹介を担当します。治療の選択肢や不安なことも含め、患者さまとご家族に寄り添いながらサポートします。

胃がんの診断は胃カメラ検査で

胃がんの診断は、胃カメラによる直接観察と組織生検が中心です。早期発見のためには、症状に頼らず定期的な検査を受けることが最も重要です。

当院の胃カメラ検査の特徴

  • 苦痛を抑えた経鼻・経口の両対応
  • 必要に応じて鎮静剤の使用も可
  • ピロリ菌検査・除菌治療まで一貫対応
  • 異常所見があれば同時に組織検査(生検)を実施
  • Webから検査予約が可能

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