大腸憩室症
大腸憩室症とはどんな状態?
大腸憩室(けいしつ)とは、大腸の壁の一部が外側に向かって飛び出し、小さな袋のようになったものをいいます。大腸の壁には筋肉の層がありますが、血管が通っている部分などは構造的に弱くなりやすく、その弱くなった部分から粘膜が外へ押し出されて袋状の突出ができます。この憩室は1つだけでなく複数できることが多く、たくさんの憩室がある状態を「大腸憩室症」と呼びます。
できやすい年齢
大腸憩室は60歳以上の方に多くみられ、年齢を重ねるにつれて増えていく傾向があります。
できやすい場所
日本人ではもともと、盲腸や上行結腸といった大腸の右側にできることが多いとされてきました。しかし、食生活の変化にともない、近年ではS状結腸などの左側にできるケースも増えているといわれています。
治療について
対応は状態によって異なります。症状のない憩室症の場合は、特別な治療は必要なく、経過をみていくのが一般的です。炎症を起こした憩室炎では抗菌薬などによる治療が行われ、憩室出血の場合には出血を止める処置が必要になることがあります。
予防のために
大腸憩室の予防には、日々の生活習慣が大切とされています。食物繊維をしっかりとること、こまめに水分を補給すること、便秘を防ぐこと、適度な運動を心がけること、そして肥満に気をつけることが、憩室の予防につながると考えられています。
大腸憩室症の3つの状態
大腸憩室に関わる状態は、大きく3つに分けられます。「憩室があるだけの状態」と「合併症が起きた状態」は、対応が大きく異なります。
憩室症の方すべてが将来的に憩室炎や憩室出血を起こすわけではありません。合併症を起こすのは一部の方で、多くの憩室症は生涯無症状のまま経過します。ただし、突然の腹痛・血便がある場合は、憩室関連の合併症の可能性も念頭に、早めに医療機関を受診してください。
どんな人に多いのか
大腸憩室症は加齢とともに増加する状態で、生活習慣の影響も強く受けます。高齢化と食生活の欧米化により、日本でも増加傾向にあります。
- 加齢(60歳以上で急増)
- 加齢に伴い大腸壁の筋層が弱くなり、憩室ができやすくなります。60歳以上では非常に多く見られる状態です。ただし「あるだけ」で症状がなければ健康上の問題はありません。
- 食物繊維の摂取不足
- 食物繊維が不足すると便が硬くなり、便通の際に大腸内の圧力が高まって憩室ができやすくなります。野菜・果物・全粒穀物を意識的に摂ることが予防につながります。
- 慢性の便秘
- 長期の便秘は大腸内の圧力を持続的に上げるため、憩室形成のリスクを高めます。便秘の解消は憩室症の予防だけでなく、症状のある方の症状悪化予防にも大切です。
- 肥満・運動不足
- 肥満と運動不足は憩室症・憩室炎のリスク因子です。定期的な運動は腸の動きを整え、便通を改善する効果もあります。
- NSAIDs(鎮痛剤)の常用
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:ロキソプロフェン・ジクロフェナクなど)や低用量アスピリンの長期使用は、憩室出血・憩室炎のリスクを高めることが知られています。慢性痛で長期服用中の方は、担当医と相談のうえ胃薬との併用や見直しを検討することがあります。
- 喫煙
- 喫煙は憩室炎のリスク上昇と関連することが報告されています。他の疾患予防の観点も含めて、禁煙が推奨されます。
こんな症状はありませんか?
大腸憩室症は状態によって症状が大きく異なります。無症状の憩室症では特に注意すべき症状はありませんが、合併症(憩室炎・憩室出血)では特徴的な症状が現れます。
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よくあるご質問
健診で「大腸憩室症」と言われました。がんの心配はありますか?
大腸憩室症は良性の状態で、がんとは別のものです。憩室そのものががんになることはほとんどありません。ただし、憩室があっても大腸がんが同時に見つかることはあるため、大腸がん検診は他の方と同様に定期的に受けることが大切です。
憩室があるので手術で取ってもらった方がいいですか?
無症状の憩室症に対しては、予防目的の手術は原則行いません。憩室がたくさんあっても、無症状であれば治療の必要はなく、生活習慣の見直しで十分です。手術が検討されるのは、憩室炎を繰り返す方、重症の合併症を起こした方などに限られます。
ナッツ類やゴマなど硬い食べ物は避けた方がいいですか?
かつては「憩室に詰まって炎症を起こす」と考えられ、ナッツ・ゴマ・種類などを避けるよう指導されることがありました。しかし近年の研究では、これらの食品は憩室炎リスクとは関連しないとされ、避ける必要はないとする見解が主流になっています。過度な制限は栄養バランスを崩す原因にもなります。ただし個別の状況は担当医と相談してください。
憩室炎を一度起こしました。また起こる可能性はありますか?
一度憩室炎を起こした方の一部で再発することが知られています。ただし、必ず再発するわけではありません。生活習慣の見直し(食物繊維・水分・運動・NSAIDsの管理)が再発予防に有効です。繰り返す場合は待機的手術が検討されることもあります。
お腹の張りは憩室のせいでしょうか?
お腹の張りの原因は多岐にわたり、憩室症だけで説明されることは多くありません。過敏性腸症候群、便秘、機能性ディスペプシアなど他の疾患の可能性もあります。症状が続く場合は原因を評価するための受診をおすすめします。
抗血栓薬(血液サラサラの薬)を飲んでいます。憩室出血が心配です。
抗血栓薬(低用量アスピリンや抗凝固薬など)を服用中の方は、憩室出血のリスクがやや高くなります。しかし、これらの薬は心筋梗塞・脳梗塞予防に重要な役割を果たしているため、自己判断で中止しないでください。処方医と相談のうえで、必要性・リスク・代替方法を検討します。
血便が出ましたが、痛みがありません。憩室出血でしょうか?
無痛性の血便は憩室出血の典型的な症状ですが、大腸がん・大腸ポリープ・血管異形成など他の疾患でも見られます。原因を明確にするためには大腸内視鏡検査が必要です。少量でも血便が出た場合は、必ず医療機関を受診してください。
「憩室あり」と言われて不安な方、症状が気になる方へ
大腸憩室症は、正しい理解と適切な生活管理で安心して付き合っていける状態です。
まずは現在の状況の評価と、今後の管理方針をご相談ください。
当院の大腸カメラ検査の特徴
- 苦痛を抑えた挿入技術で、体への負担に配慮
- 必要に応じて鎮静剤の使用も可
- ポリープが見つかった場合は、その場で日帰り切除にも対応
- 異常所見があれば同時に組織検査(生検)を実施
- AIによる診断サポートで、微小な病変の見落としを軽減
- Webから検査予約が可能