クローン病

クローン病とはどんな病気?

クローン病は、口から肛門まで続く消化管の、どの部分にも炎症が起こりうる病気です。潰瘍性大腸炎の炎症が一続きに広がるのに対し、クローン病では、炎症のある部分と正常な部分が「飛び石」のように点在するのが特徴です。また、炎症が粘膜の表面だけでなく、腸の壁の深い層まで達する(全層性)という点も、この病気の大きな特徴です。

クローン病は指定難病ですが、これは「治りにくい病気」というより「原因が完全には解明されていない慢性疾患で社会的支援の対象」という意味合いです。近年は生物学的製剤をはじめとする治療薬の進歩により、多くの患者さまで長期の寛解維持と通常の生活が可能となっています。若年で診断されることが多い疾患ですが、学業・仕事・妊娠・出産・スポーツなど、様々な人生のイベントを疾患と共に歩むことができます。診断されたばかりで不安を感じられる方も、専門的な管理のもとで前向きに向き合っていきましょう。

クローン病は、小腸の終わりの部分(回腸)や大腸に起こることが多いとされています。ただし、これらに限らず、口から肛門までの消化管のどこにでも炎症が生じる可能性があります。

クローン病は、10〜20代の若い世代で発症することが多い病気です。潰瘍性大腸炎に比べると、やや若い年齢で発症する傾向があるといわれています。

クローン病は、国(厚生労働省)が定める指定難病のひとつです。長い経過をたどる病気で、症状が強く出る「活動期」と、症状が落ち着いている「寛解期(かんかいき)」を繰り返すのが特徴です。

治療では、炎症を抑えて症状を改善させること(寛解導入)と、その落ち着いた状態を長く保つこと(寛解維持)を目指します。あわせて、後述する狭窄や瘻孔といった合併症を防ぐことも、大切な目標となります。

クローン病の発症リスクに関わる要因

クローン病は日本の指定難病のひとつで、近年増加傾向にあります。若年発症が中心のため、生涯にわたる管理が特に重要となる疾患です。

喫煙(最も明確な悪化因子)
クローン病では喫煙が発症・悪化・術後再発のいずれのリスクも高めることが明確に示されています。UCとは異なり、喫煙は明らかに有害です。クローン病の患者さまには禁煙が強く推奨されます。
家族歴・遺伝的素因
複数の疾患感受性遺伝子が特定されており、UCよりも遺伝的素因の関与が強いとされています。ただし単一の遺伝子で決まる疾患ではなく、家族歴があっても必ず発症するわけではありません。
環境要因
先進国で罹患率が高く、食生活の欧米化・大気汚染・衛生環境の変化などが関与するとされています。ただし、単一の環境要因では説明できません。
食生活の欧米化
高脂肪食・動物性タンパク質過多・食物繊維不足など、食生活の欧米化がクローン病発症のリスク因子として指摘されています。日本での患者数増加もこの傾向と関連する可能性があります。
腸内細菌叢の変化
クローン病患者では健康な方と異なる腸内細菌叢が指摘されており、腸内細菌と免疫系の異常な相互作用が発症に関与すると考えられています。

こんな症状はありませんか?

クローン病の症状は非常に多彩です。炎症の部位・程度・合併症の有無によって症状の現れ方が大きく異なります。

腹痛(特に右下腹部)
回腸終末部の炎症により、右下腹部の痛みが多く見られます。虫垂炎と間違われることも。食後の痛み・持続的な痛みなど、多様なパターンで現れます。
慢性の下痢
数週間以上にわたって下痢が続くことが特徴です。よく似た病気である潰瘍性大腸炎では血便が目立ちやすいのに対し、クローン病の場合は血便がはっきりとは現れない、あるいは少ないことも多いという違いがあります。
体重減少・食欲不振
小腸の炎症により栄養吸収が悪くなり、意図しない体重減少が起こります。特に若年者では成長障害の原因にも。慢性の食欲不振も生活の質を下げます。
発熱・全身倦怠感
活動期には微熱〜発熱、倦怠感、疲れやすさが現れます。原因不明の発熱が続く場合、クローン病が背景にあることもあります。
肛門病変(痔瘻・肛門周囲膿瘍)
クローン病に特有の症状。難治性の痔瘻・肛門周囲膿瘍・裂肛などがあり、これらから消化器内科を受診してクローン病と診断されるケースもあります。
血便
大腸型のクローン病では血便を伴うことがあります。

クローン病の主な合併症

クローン病では、全層性の炎症により、UCには見られない特徴的な合併症が生じることがあります。これらの合併症の予防と早期対応が、長期予後に大きく影響します。

狭窄(きょうさく)
炎症が繰り返し起こることで腸の壁が厚くなったり硬くなったりし、腸の内側が狭くなってしまう状態です。食べ物の通りが悪くなり、腹痛や腸閉塞などを引き起こすことがあります。
瘻孔(ろうこう)
炎症が腸の壁の深い層まで進むことで、腸に穴があき、別の腸や膀胱、皮膚などとトンネルのようにつながってしまう状態です。「フィスチュラ」とも呼ばれます。
膿瘍(のうよう)
炎症や感染によって、お腹の中や腸の周囲に膿(うみ)がたまった状態です。発熱や強い腹痛をともなうことがあります。
肛門病変
クローン病では肛門やその周囲にも病変があらわれやすく、痔瘻(じろう)や切れ痔、肛門周囲の膿瘍などがみられることがあります。肛門の症状が、クローン病を見つけるきっかけになることもあります。
栄養障害
小腸の炎症などにより、食べたものの栄養がうまく吸収されにくくなる状態です。体重減少や貧血、成長期のお子さんでは発育への影響がみられることもあります。

気になる症状が続いている方へ

クローン病は早期の診断と治療で予後が大きく変わる病気です。
不安な症状があれば、我慢せずご相談ください。

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よくあるご質問

クローン病は治る病気ですか?

現時点では「完全に治す」ことは難しい慢性疾患ですが、近年の治療薬の進歩により、多くの患者さまで長期の寛解維持と通常の生活が可能となっています。「治す」というより「症状を抑えて上手に付き合う」という考え方が現代の管理方針です。

手術すれば治りますか?

いいえ、UCと異なり、クローン病では手術しても再発することが知られています。「腸を切除すれば治る」わけではなく、手術は狭窄・瘻孔・膿瘍などの合併症への対処で行われ、術後も薬物療法の継続が必要です。可能な限り腸管を温存する方針が推奨されます。

禁煙は必要ですか?

はい、クローン病では禁煙が特に強く推奨されます。喫煙は発症・症状悪化・術後再発のリスクを明確に高めることが疫学的に示されています。

食事制限は厳しいですか?

画一的に厳しい制限が必要というわけではありません。ただしクローン病は個別性が高く、ご自身の症状パターンに合わせた調整が推奨されます。狭窄がある方は繊維質を控えめに、脂質は多くの方で控えめが推奨されるなど、傾向はあります。詳細は主治医・管理栄養士と相談を。

お薬の費用が心配です。

生物学的製剤は高額な薬剤ですが、指定難病である本疾患では、難病医療費助成制度・高額療養費制度により自己負担が軽減されます。認定基準を満たす方は、都道府県への申請でこれらの制度を活用できます。

妊娠・出産はできますか?

できます。多くのクローン病患者さまが通常の妊娠・出産を経験されています。妊娠中に安全に使える薬剤も多く、寛解期での妊娠が推奨されます。妊娠を希望される場合は事前に主治医と相談し、計画的に進めましょう。

子どもに遺伝しますか?

親がクローン病でも、お子さまが必ず発症するわけではありません。家族歴のある方はやや発症リスクが上がる傾向がありますが、大多数の方は発症しません。

症状が続いている方、診断が気になる方へ

クローン病は、正確な診断と適切な治療で長期の寛解維持が可能な疾患です。

ご不安な点、ご質問など、遠慮なくご相談ください。

当院の大腸カメラ検査の特徴

  • 苦痛を抑えた挿入技術で、体への負担に配慮
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  • 異常所見があれば同時に組織検査(生検)を実施
  • AIによる診断サポートで、微小な病変の見落としを軽減
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