食道がん
食道がんとはどんな病気?
食道は、口から胃までをつなぐ、長さ約25cmの管状の臓器です。食道がんは、その粘膜から発生する悪性腫瘍で、できる部位や組織のタイプによって性質が異なります。がんが粘膜内にとどまっている早期の段階から、周囲の組織へ広がったり(浸潤)、ほかの臓器へ転移したりする進行した段階まで、その状態はさまざまです。
主なタイプ(組織型)
食道がんには、大きく分けて「扁平上皮がん」と「腺がん」の2つのタイプがあります。日本では、その大部分を扁平上皮がんが占めています。一方の腺がんは、バレット食道から発生することが多く、近年は増加傾向にあるといわれています。
発症しやすい年齢・性別
食道がんは60〜70代で最も多くみられます。また、女性に比べて男性に圧倒的に多く、その頻度は女性の数倍にのぼるとされています。
主な原因
食道がんの原因は、タイプによって異なります。扁平上皮がんは飲酒や喫煙との関わりが深いとされ、腺がんは慢性的な逆流性食道炎(GERD)やバレット食道、肥満などが関係すると考えられています。
治療について
食道がんは、早期に発見できれば内視鏡治療による完治も期待できる病気です。進行した場合でも治療法は大きく進歩しており、いずれの段階においても、早期発見・早期治療が重要とされています。気になる症状のある方や、飲酒・喫煙習慣のある方は、一度検査を検討されることをおすすめします。
見逃したくない食道がんのサイン
食道がんの早期には症状はほとんど出ませんが、進行するにつれて特徴的な症状が現れます。以下の症状がある場合は、放置せず早めの検査をご検討ください。
これらの症状は必ずしも食道がんを意味するわけではありませんが、原因を明確にするためには胃カメラ検査が最も確実です。「まだ大丈夫」と先延ばしせず、症状のうちにご相談ください。
- 食べ物が飲み込みにくい/つかえる感じがある(嚥下障害)
- 飲み込む時に胸の奥が痛い・しみる
- 説明のつかない体重減少(半年で数kg以上)
- 食べられるものが徐々に固形物から柔らかいものへと変化した
- 声のかすれ・嗄声(させい)が続いている
- 胸や背中の痛みが続いている
- 咳・むせが増えた(誤嚥)
- お酒を飲むと顔が赤くなる体質で、飲酒・喫煙の習慣がある
こんな方はリスク高
- 飲酒・喫煙の習慣がある方(扁平上皮がん)
- 飲酒と喫煙は扁平上皮がんの二大リスク因子です。両方の習慣が重なると、リスクは相乗的に上昇します。長年の習慣であっても、いつからでも節酒・禁煙は予防に有効です。
- 「お酒で顔が赤くなる」方の飲酒(扁平上皮がん)
- お酒を飲むと顔が赤くなる、または以前は赤くなっていた方は、アセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH2)の働きが弱い体質です。この体質で飲酒を続けると、食道がんのリスクが大きく上昇します。
- 慢性の逆流性食道炎・バレット食道がある方(腺がん)
- 長期の胃酸逆流によりバレット食道が生じ、そこから腺がんが発生することがあります。特に肥満・喫煙を伴う場合、リスクが上昇します。バレット食道と診断された方は、定期的な胃カメラでの経過観察が推奨されます。
- 頭頸部(口腔・咽頭・喉頭)のがん既往がある方
- 頭頸部がんと食道がんは共通のリスク因子(飲酒・喫煙)を持つため、頭頸部がん既往のある方は食道がんのリスクも高い集団です。既往のある方は定期的な食道の検査が推奨されます。
- 熱い飲食物を好む方
- 非常に熱い飲食物の頻繁な摂取は、食道粘膜を繰り返し刺激し、扁平上皮がんのリスクを高めるとされています。適度な温度で食事を楽しむことが予防につながります。
- 野菜・果物の摂取が少ない方
- 野菜や果物に含まれるビタミン・抗酸化物質は食道がんのリスクを下げる方向に働くとされています。バランスの取れた食生活が予防に有効です。
こんな症状はありませんか?
食道がんの最大の落とし穴は、早期には症状がほとんど出ないこと。症状が現れた頃には進行しているケースも珍しくありません。
食道がんのステージ分類
食道がんの進行度は、がんの深達度・リンパ節転移・遠隔転移によって決まります。
| STAGE I(早期) | 内視鏡治療で完治が期待できる 粘膜内〜粘膜下層浅層にとどまる早期食道がん。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)による切除で、食道を温存しながら根治を目指せます。適応外の場合は手術や化学放射線療法を検討します。 |
| STAGE II〜III(進行) | 外科手術+薬物療法の組み合わせ 食道切除術(開胸・腹腔鏡下・ロボット支援)と胃や結腸を用いた再建術が中心。術前化学療法や化学放射線療法との組み合わせも検討します。食道がんに対する化学放射線療法は根治的な効果も期待できます。 |
| STAGE IV(進行) | 薬物療法が主軸、症状緩和も重視 化学療法・免疫チェックポイント阻害薬などを組み合わせて治療します。近年、免疫療法の登場により治療成績は大きく改善しています。嚥下障害への対応としてステント留置なども検討します。 |
リスクに心当たりのある方は、早めの検査を
食道がんは早期発見が予後を大きく変える病気です。
症状が出る前の胃カメラ検査で、将来の安心を確保しましょう。
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よくあるご質問
症状がなくても検査を受けるべきですか?
はい、特にリスクがある方は症状がなくても検査を受けることをおすすめします。食道がんは早期には症状が出にくく、症状が出てから受診すると進行しているケースがあります。飲酒・喫煙習慣がある方、「顔が赤くなる」体質の方、バレット食道と診断された方、頭頸部がん既往のある方は、無症状でも定期的な胃カメラをご検討ください。
食道がんが見つかったら、必ず手術ですか?
いいえ、進行度によって治療法は異なります。早期であれば内視鏡治療で完治を目指せますし、進行例でも化学放射線療法により食道を温存できる場合があります。手術になる場合も低侵襲手術(腹腔鏡・ロボット支援)が普及しています。専門医療機関と連携して、患者さまに最適な治療方針を検討します。
食道がんは遺伝しますか?
遺伝的な素因が完全にないわけではありませんが、食道がんは主に生活習慣(飲酒・喫煙・GERDなど)が大きく関与するがんです。ただし、家族に食道がん・頭頸部がんの方が多い場合、共通の生活環境要因や体質(ALDH2の遺伝子多型など)が関与している可能性があるため、リスクは高めに評価されます。
治療後の食事はどう変わりますか?
内視鏡治療の場合、食事への影響は限定的です。食道切除術を受けた場合は、少量頻回の食事、よく噛む習慣、食後の姿勢への配慮などが必要になります。化学放射線療法中は、食道の粘膜炎による嚥下痛への配慮が重要です。いずれも専門的な栄養サポートを受けることが推奨されます。
食道がんの手術後、再発はどう予防しますか?
治療後の生活習慣改善(特に禁酒・禁煙)が再発予防の基本です。また、食道がん経験者は頭頸部がん・胃がんなど他の消化器・呼吸器がんのリスクも高いため、定期的な内視鏡検査・全身の健康チェックの継続が重要です。
気になるリスクをお持ちの方、ぜひ一度ご相談を
食道がんは、早期に発見できれば、体への負担が少ない治療で対応できる可能性の高い病気です。そして、その早期発見に最も有効とされているのが、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)です。食道がんは初期の段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行してしまうことも少なくありません。だからこそ、「まさか自分が」と考えるのではなく、ご自身のリスクを正しく知り、早めに検査を受けるという行動が、これからの健康を守ることにつながります。
当院の胃カメラ検査の特徴
- 苦痛を抑えた経鼻・経口の両対応
- 必要に応じて鎮静剤の使用も可
- ピロリ菌検査・除菌治療まで一貫対応
- 異常所見があれば同時に組織検査(生検)を実施
- Webから検査予約が可能